まるで孤島のように取り残されていた坪井。新興住宅地として開拓が進み、得たものと失われたもの。
(2)復活をめざす植物たち
実際に丘を削っていた大型重機たちだ。画質が粗くて恐縮だが、2002年当時の古いデジタルカメラで撮影している生々しい写真だ。
ここがどこに当たるのか、概ね記憶しているが、敢えて伏せておくことにする。現在、普通に自転車などで走り回っている区画だ。手前と奥に森が見えているが、中央の山土が露出している場所も同じような森だった。タヌキのような野生動物はたくさん棲んでいたそうだが、彼らはどこに引っ越していったのだろうか。県道57号を超えて、八千代方面が考えられるが、2008年以降、坪井地区の数倍規模に及ぶ開拓が始まった。
まるで「平成狸合戦ぽんぽこ(スハジオジブリ)」の世界だ。ひょっとして、人間に姿を変えて、今も坪井の町に棲みついているかもしれない。
シャガ(射干:アヤメ科)
アヤメ科アヤメ属の多年草。春から初夏にかけて、暗い斜面等の群生する。
極めて古い時代の中国渡来種だ。昔、民家があったというような場所に生えているのが普通だ。長く見ていないが、なにか復活しそうな気丈な雰囲気を持つ。ただし、国内では3倍体のみが見られ、当然、種子ができない。新たに侵入するしかないだろう。
アカネスミレ(茜菫:スミレ科)
明るい丘陵に咲くスミレ科スミレ属の多年草。春、一般に明るい紫色のかわいらしい花を咲かせる。
生命力が強い雑草のDNAを持つ。花を咲かせなくても種子を作るしたたかな特技を持っていて、土中に埋もれた種子が眠り、環境が整うのを待って復活することもある。実際、この場所で数年後に復活しているのを確認した。
写真 : 左(2002/08/31) 土木重機、 右上(2000/04/30) シャガ、 右下(2002/03/31) アカネスミレ
登録[2010/06/28] - 更新[2010/07/11]